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水割りを、ロックで リターンズ

毒にも薬にもならないものを書き綴ってまいります

誕生日は祝って欲しい側の人

小学生低学年、ある年のわたしの誕生日は雨が降っていた。育った場所はクソ田舎なので、自宅から小学校まで3kmもあり、途中まで友達と一緒に帰っても、最後は一人になってしまう。

その雨の日、わたしは黄色いチェックのカッパを着て歩いていた。雨が弱くなったので県道沿いのしだれ桜の下でカッパを脱いで畳んでいた。自分でも8、9歳のことをこんなに覚えてるのはどうかと思うけど…

そのとき、知らないおじさんが「どうしたの?」と話し掛けてきた。多分しゃがんでいたので気になったんだと思う。そのときわたし、どういう訳か今日が自分の誕生日だってことをおじさんに話してしまったんです。おじさんは全く知らない人なのに、そうなんだ!おめでとう!と言ってくれて、わたしはすごく得意げな気持ちになった。そして何故か、500円玉一枚と、裏に「お誕生日おめでとう!」と書いた名刺を、お祝いだからあげるといってくれた。何かを下敷きにし、ボールペンでそれを書いているところさえも覚えている。

わたしは上機嫌でそれを受け取り、おじさんに別れを告げて、家まで歩き出すんだけど、突然「知らない人からお金を貰ってしまったこと」がすげーーー怖くなってきてしまった。家に帰っても「この500円、どうしようどうしよう…」ってめちゃくちゃに困ってしまい、どこかに埋めに行こうかとも思った。(家の前の神社とか)

今なら500円くらい、どこかに入れて隠しておけばいいじゃんとか思うけど、小学生の500円は100万の束を持ってるのと同じくらいの大金。冷や汗がだらだら出て、結局親に打ち明けてしまった。

結果、めちゃくちゃに怒られました。主な要因は、知らない人に誕生日の話をしたこと、お金を受け取ったこと。だと思う。名刺を見てすぐにおじさんに電話をかけ、しきりに謝っている親を見て、なんかすごいいけないことをしてしまった…という罪悪感と、せっかく祝ってくれたおじさんの気持ちを台無しにしてしまった罪悪感で胸が潰れそうであった。多分泣いたと思う。誕生日なのに散々親に怒られ、その後しばらく折に触れては蒸し返され、結果として割とサイテーな誕生日になってしまった。

いま、このときのことを考えてみると、

  • あんな時間(雨の平日の昼過ぎ)にあんな場所を歩いているおじさんは何だったのか
  • 誘拐するでもなく何故話だけしてすぐ別れたのか
  • 何故500円玉をくれたのか
  • 何故名刺もくれたのか

など色々謎の事件である。唯一の関係者である親にも当時の見解を聞いてみたいところだけど、嫌味などを言われたら心外なので、この事件はわたしの中だけのものにしておくとしよう…。そして今回は冒頭からいきなり思い出で始めてみました。


先日「あまり誕生日を大々的に祝ってもらいたくない」という人もいると知り、大変驚いた。わたしは上記のように知らない人にまで祝ってほしいくらいなので「誕生日を祝われて嫌な人は居ないだろう」と100%信じていた。しかし、自分が絶対だと思っていることでも、たくさんの人の中ではそうでない意見もある、という当たり前のことを改めて痛感したできごとであった。